不眠(不眠症)

日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答しています。
加齢とともに不眠は増加します。60歳以上の方では約3人に一人が睡眠問題で悩んでいます。
そのため通院している方の20人に1人が不眠のため睡眠薬を服用しています。

睡眠薬は、たまに使用されれば役立ちますが、定期的に長期的に用いた場合、薬物依存症や乱用につながることがあります。
不眠症のための睡眠薬の慢性的な使用者は、薬を服用しない慢性的な不眠症患者よりも睡眠の質が良くありません。
実際に、慢性的な服薬者のほうが、服用しない不眠の方よりも定期的な夜間覚醒が多いとされます。

不眠の症状

入眠困難

 なかなか寝付けない症状です。
床に入って寝つくまでに、30分~1時間以上かかります。
精神的な問題、不安や緊張が強いときなどにおこりやすいといわれています。

中途覚醒

睡眠中に何度も目が覚めたり、一度起きたあとなかなか寝つけなくなる症状です。
日本の成人の方では、不眠の訴えの中で最も多く(15~27%)、中高年でより頻度が高いといわれています。

早朝覚醒

朝、予定時間より2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまう症状です。
高齢者に多くみられます。
しばしば、うつ病の人に現れます。

熟眠障害

熟眠障害はある程度の時間寝ているのにも関わらずぐっすり寝たという感じが得られません。
60歳を超える高齢者に多いです。
ほかのタイプの不眠症を伴っている場合も多くあります。 

不眠になりやすい人

  • 女性
  • うつ病を含む精神障害病歴をお持ちの方
  • 感情的ストレスがある方
  • 深夜のシフト勤務がある方
  • 時差のある移動をする方
  • 60歳を超える高齢者
  • 乳幼児の育児中の方
  • パソコンなどのデスクワークの方
  • 薬物、ストレスに過敏な方

不眠の原因

ストレス

ストレスと緊張はやすらかな眠りを妨げます。
神経質で生真面目な性格の人はストレスをより強く感じ、不眠にこだわりやすく、不眠症になりやすいようです。

からだの病気


高血圧や心臓病(胸苦しさ)・呼吸器疾患(咳・発作)・腎臓病・前立腺肥大(頻尿)・糖尿病・関節リウマチ(痛み)・アレルギー疾患(かゆみ)・脳出血や脳梗塞などさまざまなからだの病気で不眠が生じます。
また睡眠時無呼吸症候群やムズムズ脚症候群(レストレスレッグス症候群)など、睡眠に伴って呼吸異常や四肢の異常運動が出現するために睡眠が妨げられる場合も珍しくありません。
不眠そのものより背後にある病気の治療が先決です。

こころの病気


多くのこころの病気は不眠を伴います。
近年は、うつ病にかかる人が増えています。単なる不眠だと思っていたら実はうつ病だったというケースも少なくありません。
「早朝覚醒」と「日内変動(朝は無気力で夕方にかけて元気がでてくる)」の両方がみられる場合は疑われます。

薬や刺激物


治療薬が不眠をもたらすこともあります。
睡眠を妨げる薬としては降圧剤・甲状腺製剤・抗がん剤などが挙げられます。また抗ヒスタミン薬では日中の眠気が出ます。
コーヒー・紅茶などに含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンなどには覚醒作用があり、安眠を妨げます。
カフェインには利尿作用もあり、トイレ覚醒も増えます。

生活リズムの乱れ

交替制勤務や時差などによって体内リズムが乱れると不眠を招きます。
現代は24時間社会といわれるほどで昼と夜の区別がなくなってきてますから、どうしても睡眠リズムが狂いがちです。

環境

騒音や光が気になって眠れないケースもみられます。また寝室の温度や湿度が適切でないと安眠できません。

無為楽堂の取り組み

整体施術

不眠でお悩みの方の体は、筋肉が過緊張を起こしていることが見受けられます。
特に体の内側にある深層筋(インナーマッスル)が、過緊張を起こしているケースが多いです。
深層筋(インナーマッスル)の過緊張は、自分では自覚しにくく、無意識なものなので、自力で解くのは非常に難しいです。
整体施術によって、その深層筋の過緊張を解いていきます。

生活指導

まず、よくお話を聞き、不眠になった経緯や原因を探ります。
その上で、お一人お一人に合った生活指導、アドバイスなどをさせていただきます。
疑問、不安など解消できるよう精一杯ご説明させていただきます。

睡眠薬では治らない

睡眠薬の作用機序は、健全な睡眠を誘うのではなく、気絶に近いそうです。
服薬により眠れるかもしれませんが、質の良い睡眠はとれないと思います。
また、度重なる服薬で薬物耐性ができると、薬が効かなくなることもあります。
そうなった場合、薬の量や種類が増えます。
あるいは、もっと強い作用の薬を処方されることもあります。

薬には、必ず副作用があります。
身体の酵素を無駄使いし、健全な消化や代謝の営みを阻害します。
交感神経を刺激し、自律神経バランスを乱します。
依存性の強いものもあります。

過剰な服薬は、泥沼状態につながります。
そうなると、そこから脱却するのは、本当にたいへんです。
人によっては地獄の苦しみを味わいます。

服薬が必要な場合もあるでしょう。
確かに効果はあり、眠れるようになるかもしれません。
しかし、服薬はあくまでも対症療法です。
不眠を根本解消してくれるわけではありません。

カフェインを取らない

カフェインでも心と体が興奮して、不眠症の改善を妨げます。不眠症の分類が2つ以上ある人は、香辛料、特に唐辛子なども摂取しないようにしましょう。
不眠症の方は、6ヶ月以上(できれば1年間)はカフェインが入った飲み物をやめましょう。カフェインを取る習慣のある人は大変ですが、不眠症を改善させるには必要不可欠のことです。
自律神経失調症のひどい方も1年半ぐらいカフェインをやめましょう。
不眠症も改善する時が多いです。
動悸もなくなってきます。
もちろん不眠症にもいいです。
眠れるのも早くなったり、眠り自体も深くなります。

カフェインの入った代表的な飲み物

  • コーヒー
  • 緑茶(特に新茶に多い)
  • 紅茶
  • エナジードリンク
  • コーラ

寝る準備を早めにする


不眠症の方は普通の人よりも、体の中の寝る準備、つまり交感神経の興奮を抑えるのに時間がかかります。
普通の方が布団に入って30分もすれば眠たくなるのに対し、不眠症の方、特に「入眠困難症」といわれる方だと、「2時間も3時間も眠れない」なんてことがあります。
ですから布団に入る前から、時間をかけて交感神経を鎮めてやらなければなりません。 
以下のようなことを心掛けましょう。

寝る3時間前からはテレビ、パソコン、スマホの禁止
部屋の電気を暗め、低めにする(間接照明など)
ぬるめのお風呂にゆっくり入る(40度のお湯に20分) 
呼吸(ゆっくりと吐く息を意識してリラックス)

座禅、瞑想する

瞑想は不眠症の治療に推奨されているそうです。
仏陀が瞑想の実践をリラックスと安眠をもたらす方法として、推奨していることが記録されています。

睡眠時間は問題ではない

睡眠時間には個人差があります。
日本人の睡眠時間は平均して7時間程度ですが、3時間ほどの睡眠で間に合っている人もいれば、10時間ほど眠らないと寝足りない人までさまざまです。
また健康な人でも年齢とともに中途覚醒や早朝覚醒が増えてきます。「若い頃はもっと眠れたのに」は禁物です。
不眠症は不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題なのです。眠りが浅く感じられても昼間の生活に支障がなければいいのです。睡眠時間が短いことや目覚め回数にこだわりすぎないことが大事です。