「施術をやめて経営に専念すれば、もっと儲かりますよ」
世の中のビジネス書やコンサルの方は、みんな口を揃えてそう言います。 頭では分かってるんですよ。そっちの方が賢いし、効率的だし、利益率もダンチだってことくらい。
でもね、できないんです(苦笑)。 どうしても、手が動かない。身体が拒否する。
「ああ、自分はなんて商売が下手なんだろう」 「覚悟が足りないのかな、センスがないのかな」
ずっとそうやって、スマートに成果を出している人たちを見ては「それに比べて自分は…」と勝手に凹んで、自分を責めていました。
繁盛しているあの人を好きになれない
施術を手放して、経営に特化して大成功した元・施術家。
正直に言うと、私はそう言う人凄いとは思うけど、あまり好きにはなれない。羨ましさと僻みなのかなあと思っていました。
でも、その方が施術を引退したあと何をしてるかを風の噂で聞いたり観察したりしていたら、急にハッとしたんです。
せっかく仕事から離れたのに新しいビジネスを始めたり、なんか浅い趣味みたいなこと始めてはやめたり ……あれ? あんまり楽しそうじゃないぞ、と。
もしかして、ビジネスに自分を最適化し続けた結果、効率とかROI(投資対効果)以外の感情が麻痺しちゃったんじゃないか。 稼ぐために自分を「ビジネスマシーン」に改造しすぎて、せっかく稼いだのに、稼ぐこと以外にやりたいことが消えてしまっているんじゃないか……。
その姿を見たとき、ちょっと不謹慎なんですが「あ、無理に成功しなくて良かったのかもしれない」って思っちゃったんですよね。
「できない」のは、私の中の人間性が抵抗していたからだった
でも、その瞬間に長年の胸のつかえがスッと取れました。
あ、私が「スマートなビジネス」にどうしても乗っかれなかったのって、単に商売のセンスがないからだけじゃなかったんだ。
「これ以上自分を効率化・マシーン化したら、施術家としての美学も、人間としての温もりも、全部消えちゃうぞ!」って、私の中の無意識が必死にブレーキを踏んでくれてたんだな、と。
ビジネスに最適化できなかったのは、自分がポンコツだからでもあるけれど、同時に「自分らしさ」をギリギリのところで守り抜いた結果でもあったんだ、と気づけたんです。
ビジネスでうまく行かない自分を正当化できて、心底ホッとしました。 「なんだ、ただ自分を売り渡したくないだけだったのか」って、自分を許せてすごく楽になったんです。
泥臭く、バカな自分のままでいくしかない
まあ、こんな風に悟ったようなことを言ったところで、私のビジネスの苦労が明日から消えるわけじゃないんですけどね!(涙)
相変わらず毎日「どうやったら、新規のお客さん獲得できるのか?」とパソコンに向かってAIに相談するだろうし、「ビジネスと割り切って嘘ついちゃおうかな〜」と考える時もあります。我ながらバカだなあと思う瞬間です。
でも、それも含めて自分なんですよね。
資本主義の波には乗れなかったし、器用に大儲けはできない。 だけど、自分や目の前の人に嘘をつくような仕事だけは、どうしても出来なかった。
だったらもう、泥臭くやるしかないじゃないですか。 不器用で、大衆には評価されにくいかもしれないけれど、嘘のない正直な施術を届ける。それが私という人間の限界であり、唯一の誇りなんだから。
もしこれを見ているあなたも、「ビジネスが下手で自分はダメだ」って落ち込んでいるなら、一回自分を許してあげてください。
それはあなたが劣っているんじゃなくて、ビジネスマシーンになりきれない「愛すべき人間らしさ」が、ちゃんと残っている証拠かもしれないですよ。
お互い、泥臭くあがっていきましょうね。
無痛整体 無為楽堂 