ネガティブは悪か?

自律神経整体 無為楽堂の中村です。

世の中ではよく、「ネガティブはダメ」「ポジティブシンキングがいい」と言われています。

また、ネガティブ思考で困っています、という方もいらっしゃいます。

当院に来られる方も、ネガティブ思考の方が多いです。

 

このネガティブ思考というものは、一体なんなんでしょう?

本当に悪いものなのでしょうか?

このブログでは、これについて論じたいと思います。

 

 

ポジティブ戦略、ネガティブ戦略

結論から言いますと、ポジティブもネガティブもどちらも人間がどういう方法(戦略)で生き延びていくのか?の戦略の違いなだけです。

ですから、ここではポジティブ思考、ネガティブ思考をポジティブ戦略、ネガティブ戦略と言い換えます。

簡単にいいますと、ポジティブ戦略は積極的に成果を取りにいく戦略で、ネガティブ戦略は危険を最小限にする戦略と言えます。

 

また、人間の外界に対する反応そのものが、渇望(もっと欲しい)か嫌悪(拒否)の2つです。

それが発達して生き残り戦略になったのが、ポジティブ戦略、ネガティブ戦略です。

それでは、詳しく見て行きましょう。

 

 

 

ポジティブ戦略とは

ポジティブ戦略の目的は、成果を最大化することです。

得られるもの最大限にするため、その行動はとても積極的です。

少々のことではへこたれず、どんどん突き進んで行きます。

一見良いことばかりの様に見えるのですが、実は大きな落とし穴に落ち易いというリスクを持っています。

 

例えるなら、登山です。

ポジティブ戦略な人なら、多少の悪天候などでもポジティブに強行してしまい、うまくいけばいいのですが、失敗したら死んでしまう可能性があります。

原始時代の様に、死の危険が多い時代なら真っ先に死ぬ事でしょう。

ポジティブ戦略の人が、少なくなるのは必然ですね。

 

ポジティブ戦略には、そういったリスクが存在するのです。

ハイリスクハイリターンな戦略なのです。

 

 

 

ネガティブ戦略とは

では、ネガティブ戦略はどうでしょう?

ネガティブ戦略は、ポジティブ戦略とは真逆で、ダメージを受けるリスクを最小限にしようとするローリスクローリターンの生き残り戦略です。

危険を回避する事を目的としています。

そのため、行動はリスクを避けるためどんどん制限され、消極的になります。

悪い事の様ですが、先を考え、物事を良く吟味しているとも言えます。

 

分かり易い例としては、ひきこもり。

ひきこもりの人は、ネガティブ戦略で最大限リスクを回避した結果、ひきこもっているのです。

生き残りの戦略であり、問題はありますが、実際に生き残っています。

ちゃんとした意味があるのです。

 

 

ネガティブ戦略の更にポジティブ、ネガティブ

ネガティブ戦略は、その中で更に2つの状態に分かれます。

ひとつは、ネガティブ戦略のポジティブ。

もうひとつは、ネガティブ戦略のネガティブです。

 

ネガティブ戦略は、この二つの状態を行ったり来たりします。

どんな状態なのか、解説しましょう。

 

 

ネガティブ戦略のネガティブ

ネガティブ戦略を取ると、リスクは最小限になるけど、成果も出なくなります。

成果の出ないことに対して、更にネガティブ戦略を取るとどうなるか?

「リスクを避けて、行動せず成果が出ないことは、更にリスクだ。」

という二重否定の状態になります。

私はこれを、「ネガティブ戦略のネガティブ」と名付けました。

 

こうなると逆に、今までリスクを避けて消極的だったのが、俄然積極的になります。

ポジティブ戦略よりも、更に爆発的な行動力になります。

しかし、内面は自己の二重否定によってとても苦しい状態なのが、ポジティブ戦略との違いです。

 

うまく行動から成果をあげることができれば、二重否定は解消されて楽になるのですが、成果があがらないと最後には行動力のエネルギーが尽きてしまいます。

そうすると、自己の二重否定だけが残ってしまう。

自分を責め続ける、重度のひきこもりやうつ状態になってしまいます。

自殺もそうです。

矛盾してますが、生きるために死ぬのです。

ネガティブ戦略のネガティブは、ハイリスクハイリターンな戦略なのです。

 

 

 

 

ネガティブ戦略のポジティブ

ネガティブ戦略を取り、リスクを最小限にしたのはいいが、リターンが得られないのでこのままではダメだと思い、ネガティブ戦略のネガティブで行動しようとする。

しかし、ネガティブ戦略のネガティブは自己の二重否定で苦しい。

これを少しでも楽にするためになる状態が、ネガティブ戦略のポジティブです。

ネガティブ戦略の肯定です。

 

つまり、リターンの得られない自分、ダメな自分を受け入れることです。

そうすると、行動力は無くなりますが、自己の二重否定の苦しみは和らぎ、内面は少し楽になります。

開き直った状態です。

軽度のひきこもり、無気力な状態です。

気持ちは少し楽だが、しかし問題は先送りにしているだけです。

ローリスクローリターンです。

ネガティブ戦略のネガティブで、行動力のエネルギーが尽きてしまった場合は、ネガティブ戦略のポジティブになって、エネルギーを蓄え直すべきでしょう。

 

人はこのように、ポジティブ戦略、ネガティブ戦略、ネガティブ戦略のネガティブ、ネガティブ戦略のポジティブを行ったり来たりして、使い分けているのです。

人によって、大分偏りがありますが。

ネガティブ戦略

ひきこもりを脱出するには

ひきこもりの脱出を例にして考えて見ましょう。

まず、ひきこもりの方がネガティブ戦略のネガティブが強いのか、ネガティブ戦略のポジティブを強いのか見分けましょう。

ネガティブ戦略のポジティブが強いなら、自分の好きなこと程度ならできるはず。

少しずつ出来ることで成功体験を積めば、ポジティブ戦略と取れる様になると思います。

 

無理に行動させようとすると、ネガティブ戦略のネガティブになってしまうので、うまく嵌ればいいのですが、失敗するとダメージが大きいのでお勧めしません。

暴れたり、問題行動が多いなら、ネガティブ戦略のネガティブの可能性が高いです。

一旦、ネガティブ戦略のポジティブに誘導すると良いと思います。

ダメな自分を否定しない。

受け入れる。

そういう事をして、自己否定が軽くなって、少しエネルギーが溜まったら、出来る事から始めて成功体験を積み上げて、ポジティブ戦略も取れる様になるとバランスよくなります。

 

文章にすると単純ですが、実際はとても時間が掛かり、良かったり悪かったりの波はあります。

人の内面が変わるのには、手間と時間が掛かります。

 

 

 

 

ネガティブは否定しなくて良い

人間のポジティブ戦略、ネガティブ戦略、ネガティブ戦略のネガティブ、ネガティブ戦略のポジティブと解説してきました。

こうして見ると、ネガティブにもちゃんとした理由があるのです。

ネガティブを否定する必要はありません。

 

しっかりネガティブ戦略を理解すれば、自分の今の状態も理解出来るでしょうし、今後どうして行けばいいのかの方向性はわかると思います。

自分の望む生き方を選んで行きましょう。

 

「自分は今、どの戦略を取っているのだろう?」

「自分の戦略がわかったけど、どうしたらいいのだろう?」

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